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いつか晴れる🐤

140文字では書けないことを

まだ2年前なんだよね。

妊娠中に暮らしていた家は、目の前が大きな田んぼでそれはそれは虫がたくさんいた。

(※私はとてつもなく虫が嫌い)

 

私は一人寂しい妊婦生活を送っていたので、お腹が大きくなってからは窓際にベッドをつけてラジオを流しながら本を読むだけの毎日を送ってた。

1階だったから景色を遮るものもなくて目の前に大きい田んぼと、幸せそうな家族が駐車場で遊んでる姿、車通りの少ない道、かなり遠くまで見渡すことができた。

土とアスファルトの匂い、雨の匂い。カエルの鳴き声、アヒルの喧嘩、訪問販売のおじさんの小言。子供の笑い声。ラジオから流れてくる音楽。

鮮明に思い出せる。青い空も、冷たい空気も。

なんにもしてなくて寂しかったけど、1日1日の生活としてはとっても穏やかだった。考えると不安でたまらなくなることは、昼間ボーッと本を読んでる間は忘れられてた。

 

最近、土の匂いも雨の匂いも、感じることはなかった。あっという間に良い季節は過ぎていて、暑くてたまらない夏と、寒くて震えてる冬の記憶ばかり。

今の家の周りには飲み屋ばかりで、田んぼもなくてカエルの鳴き声も聞こえない。虫はそんなにいないけれど、静かな時間帯はない。夜には酔っぱらいの音痴な歌が聞こえてくる。

 

今日、息子の病院帰り。

寝てしまった息子を抱っこして、少しのんびり散歩した。私の行きたいところに、私のペースで。

晴れてるのに雨が降ったり、雲の流れがものすごく早かったり、私の好きな天気だった。

田んぼを求めて歩いていたら、雨上がりの土の懐かしい匂いがしてきた。切なくて、苦しくなった。

 

妊娠中に読んでいた本は、今は読みたくない。聴いていた音楽は、耳を塞ぎたくなる。住んでいた家の近くには、出来るだけ近寄りたくない。

でも、あのときに私が感じた癒されていた いろんな匂い、風の冷たさ、空の高さ、静かな街、ゆっくり過ぎていく時間は息子に教えてあげたい。

騒々しい、今の家ではなくて、もっと素敵な時間の流れる場所があること。

そんな場所で、あなたをお腹に宿して暮らしていたんだよ、といつか伝えられたらいいなと、私の胸の中でぐっすり眠る息子を見て思った。

 

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もうきっと、息子の目には素敵なものがたくさん映ってると思うけどね。